ふがいない僕は空を見た、のここが凄い!
何といっても素晴らしいのは、時間軸の使い分けでしょう。
この映画では時間軸が滅茶苦茶です。
あっちに行ったり、こっちに行ったりします。
それでも、映画として完成しています。
アメリカの映画はわかりやすくないと直ぐにクソ映画認定されます。
自己満足、オナニー映画とぼろくそに評価されます。
ただ、ふがいない僕は空を見た、はそうした背景があっても「わかりにくいけど、ちゃんとわかる」ラインを走っています。
そして、脇役の小回りの凄さです。
主人公は一応決まっている映画ではあると思うのですが、脇役が多すぎてあまり主人公感はありません。
そして、脇役が多い映画というのは面倒になって途中で脇役を殺して減らしていくのがシナリオライターの傾向なのですが、ふがいない僕は空を見た、では全ての脇役が全ての意味を持っています。
脇役がその場その場で主人公になっている感じがしています。
非常に作りが上手いです。
まさに名作といえる作りになっていると感じました。
ふがいない僕は空を見た、の感情移入したシーン
セックスしまくってくれる人妻と、好きな同級生どちらをとるか?
家庭を完全に作るのと、個人の楽しみのセックスのどちらをとるか?
人生の鬱憤晴らしと、友人の友情どちらをとるか?
どれも個人によって選択肢は違うでしょう。
そうしたものをしっかりと提示して、視聴者に選択させているのが凄いと思いましたね。
どちらを選んでもいいものを、わざと選ばせる。
そういう意地悪をしたいのは、正直、監督に感情移入しました。
人生はメリットとデメリットでできています。
しかし、それで解決できないこともあります。
感情の放浪です。
それを無理やり選ばせる心理はわかりますね。
「人間は腐っているんだろう。だけど、君はどう腐らないで生きていくのかね?」
という言葉は大人になれば、子供に問いたくなるものです。
それをはっきりした部分は凄いと思います。
正直な感想
「クズの本懐」という漫画、アニメが人気を出しましたが、正直な感想を言わせて貰うとそれに通じるものがあると思いました。
人間、死にそうな時期はありますよね。
それを乗り越えるには、他人を踏みにじって乗り越えるしかありません。
それは真理です。
点に過ぎない他人を利用して、自分の幸せを勝ち取る。
そういう思想は昔からあったのですね。
母親の助産師として手伝い命を扱いながらも、命を育む行為を安易に行い、不登校になるほどの環境に陥ることになる。
こうした命というものを考えさせられる邦画だと思いました。
命が生まれるのを望んでいないのに産む人もいれば、不妊症で命を産めない人もいます。そして、生まれてきた命でも追い詰められることもあります。
そうした命の難しさを丁寧に描いているところが凄いですね。
評価で言うと86点!
名作であることは間違いないでしょう。
脇役が多い、わかりにくいストーリーというものを上手く使いこなしてはいます。
ただ、ベットシーンでわざわざ乳首を見せる必要があったのかなーと少し思いました。
そこまで体を露出してエロスを強調しているわけではないに、乳首が一瞬に見せただけで15Rになったと思うので、そこはちょっと疑問ですね。
誰が見ても楽しいという感じでもなく、感動するというわけでもなく、印象に残るというわけでもないのですが、映画として完成されているというイメージですね。
ただ、これといってガツンとくるものがないというのは人によっては感じるかもしれません。
人を選ぶ映画ということで、86点という感じですね。
邦画らしい邦画であり、邦画の中でも完成されたものということで、観てみる価値はあるでしょう。