ツレがうつになりまして。はイメージとは違う
うつ病を扱う邦画ということで、うつ病の表現が激しいというイメージを持っている人もいるかもしれませんが、ツレがうつになりまして。はそこまで激しうつ表現があるというわけではありません。
そのため、精神的な闇を観るのが嫌いという人でも安心して観ることができます。うつ病だけど、うつ病なりに生きていこうという物語になっています。
自殺未遂の表現などもありますが、苦しい顔面がドアップで出てくるというようなこともなく、誇張した表現もありません。
ただ、単純にうつ病の表現として風呂の中に閉じこもってドアノブを使って自殺未遂をしているという感じですね。
また、元がエッセイ漫画ということで、エッセイ的な表現になってしまっているのではないかという人もいるかもしれませんが、そうでもありません。
きちんと物語として映画としてアレンジしてあります。
良い意味でも悪い意味でもタイトルから感じさせるイメージとは違うかな、という感じは受けましたね。
気分が落ち込んでいると励まされる邦画
今の邦画のスタイルというのは、ド派手なシーンや、ぶっ飛んだ台詞、格好いい台詞などをインパクトをつけて印象に残るシーンを演出するものが多いですよね。
それは漫画を原作とした邦画が増えてきたからで、漫画のようなスタイルの邦画がこれからのメインになってくると思います。
昔ながらの邦画というのは逆に少なくなってくると思うので、宮崎あおいさんのような細かな演技をしっかりとできるような女優さんが主演をする邦画は今しか観られないかもしれません。
邦画というのは、個人的には「間」の時間の本当に僅かな微調整でその価値が決まると思っています。表情を映し出す台詞のない時間というのを邦画は大切にしていて、それを「つまらない時間稼ぎ」だと思うのか「情緒ある有意義な時間」と取るのかは俳優や女優の演技や監督の裁量にかかってきます。
それはこの映画ではしっかりとしているとは感じました。
そうした「間」を作り出す点においては非常に優れたものを持っています。
うつ病を励ますスタイルを取っているので、気分が落ち込んでいる時に観ると、「自分も頑張らなくちゃ」という気分になれます。
邦画らしい邦画であり、それで尚且つうつ病という重いテーマを扱ってもそこまで暗い気持ちにならず、しっかりと物語を楽しめるというイメージを持ちましたね。
点数で言うと81点
登場人物も少ないですし、単純なストーリーの映画が好きだという人には向いていると思います。
ただ、それがツレがうつになりまして。というタイトルになっているので、ちょっと話がややこしくなっている印象はありますね。
豪華キャストに、話題作。そうしたものを取り揃えているので、時間が経つにつれて価値が下がっていくという感じはありますので、そこら辺でちょっと点数は下がりますかね。
何十年と残る名作というわけではありませんが、ぽっとあるだけで安心するような邦画です。
邦画の良い部分を凝縮したような作品ですので、評価は高いです。
邦画好き、日本の女優や俳優が好きという人には非常に良い作品でしょう。
特に宮崎あおいの真剣な表情と笑った表情の使い分けが素晴らしいです。
堺雅人は半沢直樹で知られるように強い口調で物を言うイメージがありますし、やはりそういうキャラクターが得意なのだと思います。
正直、あまり暗くなると視聴者離れするので調整しているのかもしれ線が、うつ病をしっかり演じ切れていないような印象は受けました。
ただ、それだけに這い上がった後の講演は力強いものを感じて、弱い者でも強くなれるという元気さをもらえる演技をしていました。