最初にクラスの中心的人物でバレーボール部の部長をしていて人気者の「桐島」が部活を止めると誰にも相談せずに噂が広まったことから、物語が始まります。
この「桐島、部活やめるってよ」は、誰もが桐島が部活を止めることに疑問を抱いていますが誰もがその原因が自分にあるとは思っていません。
皆、それぞれに欲望に任せて行動しており、歪な人間関係を続け、青春を謳歌する立場にありながら「青春ごっこ」をしているというのが現状です。
桐島がいなくなったことで、様々な人間関係が動き始めますが、誰もそれを解決できません。
菊池宏樹は桐島とは一番の親友で、
「何か聞いていないか?」
と、問い詰められますが、何も聞かされていません。
何も聞かされていないが、何となくわかっているクラスメイト
そして、イケメンでモテて運動ができるいわゆるスクールカーストの最上位にいるような3人グループに入っていて、放課後、目的もなくバスケをしています。
そして、桐島の彼女だった梨沙は追い詰められ、バレーボール部の中では桐島のいない部活動に不満が沸きます。
これは桐島の逃げ場のない心情を描いています。
そんな場所で最後の逃げ場として挙げられるのが映画部です。
一方、桐島とは全く縁のない映画部の部長の前田良也は、ゾンビ映画を作ろうとしていますが、担任教師に反対をされています。
そして、映画オタクです。
着々とゾンビ映画を作っていきますが、その間に、憧れだった同級生の東原かすみと映画館で出会い、一緒に映画を見て語り合います。
そして、その後、リア充グループの一人とキスをしているのを目撃し、
「おい、見てるぜ」
「いいよ、あんな奴」
「知ってるのか?」
「ちょっと、映画館でね」
「どんな映画?」
「わけわかんない映画だった」
などという会話をされ、淡い恋は打ち砕かれます。
クライマックスはゾンビとともに
そして、事態は次の日に動きます。
その日、色々な誤情報が飛び交い、
「桐島を屋上で見た」
という噂を確かめるために運動部一同が集まって、屋上に行きます。
しかし、そこにはいつものように屋上でゾンビ映画を作っていた前田良也たち映画部がいたのです。
運動部は映画部を舐め切っていたため、何も気にせず乱暴を働いて、映画製作の邪魔をします。
そして、桐島の姿を探します。
そこで、「努力」だけが残っている前田良也は、
「あいつらは人間だ! 襲いかかれ、ゾンビたち!」
と部員に命令して、無理やり運動部を巻き込んで映画撮影を続けます。
この瞬間は忘れられない青春の一撃だったでしょう。
ただ、その後、運動部に締められて正座させられた映画部は、
「なんなだよ、こいつら」
「桐島どこなんだよ」
とその一撃をどうでもいいように扱っています。
ただ、その中で、様々な人間関係を見てきて、桐島が部活を止める原因をわかり始めていた菊池宏樹だけは、前田良也にふと訊きます。
「お前ら、映画監督とか目指しているの?」
その答えは、
「全然!」
というものでした。
映画監督なんかなれるわけがない。
そう、一般常識として受け入れているのでした。
つまり、この学校では、
- 努力しないでも何も得られない
- 努力しても努力したという感触以外に何も得られない
ということ、を抱えているのです。
つまり、映画部にも桐島の居場所はなかったのです。
運動部だと馬鹿にし、何も努力していないからと馬鹿にし、キャプテンだからと嫉妬され、何処にも居場所がない。
そうした桐島が抱えている全てを放り出したい気持ちになった心理がわかった菊池宏樹は電話をかけるのですが、電話は鳴り続けるだけで誰も出ないのでした。
「桐島、部活やめるってよ」
その一言には想像を絶する言葉が詰まっていたのです。
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